Hideki Sakamoto Trio 感想

2015年01月24日

Hideki Sakamoto Trio

 2013年11月に行われた「ピアノレストラン 2nd Concert」にてデビューになりました、坂本さん、尾池さん、内田さんのトリオの初のCDです。

 CDの収録曲はもちろん坂本さんが作曲されたゲーム音楽であり、ピアノ、ヴァイオリン、チェロでのトリオアレンジ版となっております。
 この三つの楽器だからこそ奏でられる音色や、この三人だからこそ生み出される演奏がとても心地よいです。
 ちなみにトークもとても面白く、是非またMC付き演奏会も拝みたい所です。


 さて、至福の時間が過ごせる1枚として、自分の中で物凄くおすすめのCDです。友人の誕生日プレゼントにも贈ったのですが、大変喜んでくれまして、自分も大喜びした思い出が。
 それから、入手してから感想を書くのに相当期間が空いているのですが、とても大切な一枚なのでこの一本に集中できる時に書こう! と思い、こんな時期に。少しでも何かが伝わったら幸いです。

<演奏者>
Pf.坂本英城さん、Vn.尾池亜美さん、Vc.内田佳宏さん

<収録楽曲>
1.Prime #7 (『無限回廊』より)
2.手紙 (『428 ~封鎖された渋谷で~』より)
3.怪獣が出る金曜日・ラストテーマ (『怪獣が出る金曜日』より)
4.ウタカタ (『討鬼伝』より)
5.鬼討ツモノ (『討鬼伝』より)
6.The Final Time Traveler (『TIME TRAVELERS』より)

 これは常々言っているのですが、自分は坂本さんの曲や演奏の何が好きかと言えば流れなのですよね。音の抜き、音と音の繋がり、溜め方や間のとり方、それら全てがこれでもか! というほど好みど真ん中なのです。
 自分は音楽の選り好みは割りと激しい方なのですが、もうとにかく耳がめろめろです。
 坂本さんが描く譜面と、それらを汲み取って演奏する奏者さん、それらが合わさって出来上がるアンサンブルはやみつきになりますね!


 以下、各曲の感想です。





Hideki Sakamoto Trio

Prime #7(『無限回廊』より)

 クラシックのアンサンブルのコンサートに来た、そう感じられる曲の一つだと思います。一番最初に聴いた時に、ゲーム音楽だったのですね! と、全く気付きませんでした。
 原曲も弦がメインの美しい曲ですが、リタルダンドなどが目立った形でかかるアレンジ版という感じでしょうか。自分はこのリタルダンドが物凄く好みでして、一気に惹き込まれました。

 24秒辺りからだんだんと音が増えていき、音色もどんどん重厚になっていくのが最高であり、1:06辺りからの上り詰めていく様子は心震えます。
 この間の特に48秒のヴァイオリンの音の抜きの素晴らしさたるや、もうめろめろです。1:08辺りのリタルダンドが中でも一番好きで、ヴァイオリンのメインからそれらを経てチェロへと受け渡す流れの心地よさと言ったら、何と表現すればよいのか…。ピアノもそれぞれの旋律を引き立てながらも、後半(2分台~)の盛り上げはまた見事で、三人息の合ったクレッシェンド・デクレッシェンドがこれまた圧巻です。
 曲の終わりに近付くと一層華やいだ音楽になり、冒頭からは想像出来ない明るさがまた好きな部分です。
 演奏会でも実際に見ながら聴きましたが、歌うように弾かれていた皆さんの姿は印象的でした。

 さて。実はこの曲は自分の中では非常に珍しいことがあったのです。
 大抵は「ここ!」という、猛烈に好きなフレーズの箇所があるのですが、この曲はそれがなく、というかむしろこの曲まるまる一つで一個というのを凄く感じたのです。どこも分かれていない、終わりの見えないトンネルとでも表現すればよいのでしょうか。不思議だなぁと思っておりましたが、この無限回廊がパズルゲームだったと!
 ゲーム画面を見て納得です。このゲームだからこそ、このテイストだからこそのこの曲か、と。やはりゲーム音楽は画面も見て、更に得るものがありますね。


手紙(『428 ~封鎖された渋谷で~』より)


 
 ※動画はピアノアレンジ版です。

 どうしても内田さんの「428を四谷だと思っていた」発言を思い出してしまい、会場が爆笑の渦になったのがよぎりますが、笑いとは無縁のとても切なく素敵な一曲です。

 この曲は最初は知らず、演奏会前に上記動画があがり再生1秒くらいで一気にのめり込みました。なんでこんなにもいい曲を知らなかった自分!! という思いで呟けば、「いい曲ですよね~」とフォロワーさんと盛り上がったのも懐かしいです。やはり皆様に愛されている曲なのですね。

 何と言ってもこの曲はピアノでしょう! と、思います。最初の音からの、手で掬えばたちまち零れ落ちてしまいそうな、そんな音色をピアノがこれまた見事に、なのです。
 そしてヴァイオリンも割りと低めでチェロと掛け合いをしながら絡み合うのが素敵です。ピアノで紡がれる旋律と、弦が紡ぐ旋律、そのどちらも好きですが、この楽器だとこういう風になるのだなという発見も楽しいです。
 手紙で一番好きなフレーズはDHDGAG~の旋律部分です。途中からの雄大なメロディも好きなのですが、前者の切なさが勝るのです!
 そして最後の終わり方と言ったら…そこで終わってしまうのが…! と、これまた最高です。最後の最後まで言わせないかのようなこの終わりがたまらないのです。
 しかし、実は最初はこの終わり方がもったいなさ過ぎて、最後まで! などと思っていたのです。が、繰り返し聞いていく内にこの終わりの魅力に気付き、今では虜です。

 しかしこの曲は、あれこれ考えるよりも、ただただ聞き入るのが一番好きな楽しみ方です。


怪獣が出る金曜日・ラストテーマ(『怪獣が出る金曜日』より)

 このCDの中で最もお気に入りの曲がこちらです!
 曲名からしてもっと怪獣怪獣しているのかと思っていたのですが、どこかあどけなさや明るさを残しつつの切ないポイントもあってノックアウトでした。
 原曲は吹奏楽で演奏されても楽しいのではないかなという感じでして、フルートの低音がこれまた美味しく、Trio版よりも子どもたちというのを想像しやすいのかな、とも思います。どちらもそれぞれ良さがありますし、いい曲はいい曲に変わりないのでどちらも大好きです。

 こちらはチェロが最初に旋律を担当しますが、その後ろでの軽快なリズムを出すヴァイオリンがまた可愛らしいのです。また、1:15辺りからピアノが弦2つをまとめて流れの渦に引きこむかのような形で進んでいくのが、これまた凄く好きなのです。
 生の人間がアンサンブルで演奏する良さを物凄く感じますし、音楽の波に三人がというのを感じられる楽しさはやはり人間がやってこそかな、と思っております。

 さて、大のお気に入りなこの曲ですが、特に好きな場所というかもうここに来る度に幸せすぎてどうにかなりそう、という部分があるのです。
 それが1:12辺りからのヴァイオリンの溜めてのメロディです! AEDisHAGisのすぐ後のAGisの部分ですよ!! しかも初回のAGisです!! と、主張したいです。ここがいい意味でのトドメ箇所です。何かをしながら聴いていたとしても、この部分になると全て止まって聴き入っております。和音もだと思うのですが、流れがやはり好きなのです。


ウタカタ(『討鬼伝』より)

 ウタカタという里は鬼との戦いの最前線であり、非常に危機的状況下に置かれております。しかしながら里の自然の美しや、のんびりとしつつ、お人好しでもありという人々が集まっている、というのを更に実感させてくれるというのがこの「ウタカタ」という曲だと思います。
 討鬼伝は討鬼伝 極というのも出ており、(討鬼伝部分もまるまる収録されております)季節が夏から秋に移り変わる時に、BGMも「ウタカタ・秋艶」に変更になります。どちらも非常に名曲で、いっそ冬版と春版も聴きたい! となっているファンの方も多いかと。

 この「ウタカタ」は弦楽器も入った編成になっているので、どちらかと言えば「秋艶」のイメージにも近い感じもします。しかもチェロなので、このTrioを経て秋艶のイメージが浮かんだ可能性もあるのだろうか…とも一瞬思いましたが、それを知るのは作曲者ご本人様のみと(笑)

 何と言ってものんびりとした感じがとても癒やしになる曲です。原曲も速い曲ではないのですが、Tiro版を聴いてからですと、「こんなに速かったっけ?!」と、ちょっとびっくりするのもまた楽しく。
 伸びやかな旋律もですが、それを支えるピアノの音の動きにも注目して聴けば、更に美味しい気がします。
 また、1:03からは少し曲調が変わりピアノのリズムも色々な動きがあるのですが、決して激しくはならずにまた穏やかに終わり、そしてヴァイオリンの旋律へとなるのが好きです。劇的な盛り上がりがないからこそのこの曲であり、ウタカタの里であり。


鬼討ツモノ(『討鬼伝』より)



 ※動画はピアノアレンジ版です。更に一人連弾という見応えある動画にもなっております。

 そしてこの曲です! 劇的に動き、熱い展開が繰り広げられるのは里の外! というわけなのです。もちろん里の中でもドラマはありますが…!

 EDを飾る曲というだけあり、最初から重厚に飛ばす感じがたまりません! やはり低い音が重なると厚みがよくよく感じられますね。
 この曲は弦楽器の動きも非常に好きなのですが、ピアノの動きが大大大好きなのです。上記の「手紙」のような弾き方もピアノらしくて好きなのですが、やはり両手使えて全部の指で音を一度に出せるというのがピアノの強みでもあり、面白さでもあり、華だとも思うので、それらを大いに活用したかのようなたくさんの音が出てくる様子が素敵なのです。
 というわけでですよ、それらも絶好調になっている1:00~のCDEsDCBAsGFBGの部分はもう倒れる勢いで好きなのです!!!! 旋律も最高な上にピアノの動きも最高で、更にこの曲が使用された討鬼伝のPVはこの部分は自分が推している速鳥が出るシーンなのですよ!! 色々な要素が相まって、この曲でここに勝てる部分が無いというくらいにお気に入りです。全部好きですが、特にという意味です。


The Final Time Traveler(『TIME TRAVELERS』より)

 最後の曲は、フィギュアスケートの羽生結弦さんが2014年のエキシビションをこの曲でというのもあり、ますます有名になったのではないでしょうか。
 元々はサラ・オレインさんが美しく歌い上げる曲ですが、Trio編成になっても美しさは変わることはなく、それぞれの楽器が代わって美しく歌い上げるものになっています。

 このCDには「手紙」とこちらの曲がどちらかと言えばシリアスな曲だと思います。それでもそれぞれのベクトルが違い、前者がそっと撫でるような切なさであるとすれば、こちらは柔らかく包み込むような切なさに自分は感じます。
 またそれらを更に掻き立てるかのように、音が飛ぶ時(GからFisに)があるのですがそこが凄く好きです。それまでの旋律の音の中を更に飛び越えての高い音へ、というのはこんなにも効果があるのか、と一気に締め付けられるような感覚になります。
 また1:28~からHAGFisGGの繰り返しがもっともっと燃え上がらせるようにきて、そこから更に、とはならずに一旦落ち着き1:50~雄大な音楽が開けるという、この物語のような感じがとにかく美しいのです。聴きながら時間を旅できる。そんなように思える曲です。
 終盤はヴァイオリンのどソロからの全員で突き上げるような、それでも柔らかさは失わない、そんな音楽を経て、ゆったりと締めくくりへと導いてくれる音たちに委ねるのもまた楽しいのです。

 同じ人が作っていても、どこか終わりの見えないようにも聴こえる「Prime #7」もあれば、旅をしているかのように、終点へと導くようなこの曲もあるという、まさに色々な事が堪能出来る一枚です。



 とにかくどの曲もおすすめです! と、鼻息を荒くして言いたくなる程に大好きなCDです。
 坂本英城さんの創りあげる楽曲の海に、ゆったりと身を委ねる至福の時間をいかがでしょうか。
関連記事
スポンサーサイト


コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)